Windows 11で内部音声だけを録音する方法は複数あり、追加ソフトなしでも実現可能です。
しかし、設定の仕組みが分かりづらく、「録音できない」「ノイズが入る」といったトラブルに悩む方も少なくありません。
本記事では、録音の基本からステレオミキサー・Audacity・WASAPIループバックまで、目的に応じた方法を徹底解説します。
音質や操作性にも配慮しつつ、初心者にも分かりやすくステップごとに説明するので、録音環境を改善したい方に最適な内容です。
Windows 11でPC内部音声を録音する基本知識

PC内部音声の録音は、仕様を理解するだけでグッと簡単になります。
まずは基礎から確認しておきましょう。
内部音声とは?録音が難しい理由とは
内部音声とは、PC内で再生されているYouTube動画やZoom会議、ゲームのサウンドなど、スピーカーから出力される前のデジタル音声信号のことです。
スマホなら標準で録音できますが、Windows 11では著作権保護(DRM)やドライバ制限の影響で録音が制限されていることがよくあります。
また、パソコンによっては「ステレオミキサー」が非搭載な場合もあり、ユーザーが自分で環境を整える必要があります。
【主な制限要因】
- 著作権保護の仕組み(DRM)
- ステレオミキサー非表示または未搭載
- オーディオドライバの仕様差
「アナログ録音」と「デジタル録音」の違い
録音方法には「アナログ録音」と「デジタル録音」の2種類があります。
アナログ録音はスピーカーの音をマイクで拾う方式で、ノイズが多くなりがちです。
一方、デジタル録音では、PC内部の音声信号を直接キャプチャするため、音質が非常にクリアでノイズも入りません。
【違いを表で比較】
| 録音方式 | 音質 | 特徴 | 適した用途 |
|---|---|---|---|
| アナログ録音 | 低い | 簡単だがノイズが混入する | 仮の録音、緊急用 |
| デジタル録音 | 高い | 高音質で編集にも最適 | 音声配信、資料作成など |
録音したい内容の品質が重要であれば、デジタル録音一択と言えるでしょう。
録音できない原因とWindowsの仕様
Windows 11では、初期設定のままだと内部音声が録音できないことがあります。
その原因は主にサウンド設定・ドライバ未対応・プライバシー制限の3つに分けられます。
具体的には、以下の要素が障害になります:
- ステレオミキサーが無効になっている
- プライバシー設定でマイクアクセスが制限されている
- ドライバーが古く、機能が制限されている
Windowsの録音仕様を正しく理解しておくと、トラブル解消の近道になります。
追加ソフト不要!ステレオミキサーで録音する方法
Windowsに標準搭載されているステレオミキサーを使えば、外部ソフトなしで録音が可能になります。
ステレオミキサーとは?搭載されていない場合の対応策
ステレオミキサーは、パソコン内部で再生されている音を録音するための仮想デバイスです。
Realtek製オーディオドライバー搭載のPCに多く見られますが、非表示または非搭載のケースもあります。
【搭載されていない場合の対処法】
- オーディオドライバを最新版に更新する
- 無効なデバイスの表示をオンにする
- AudacityやVoiceMeeter Bananaなどの代替ツールを使う
搭載されていないからといって諦めず、環境に応じた選択肢を取りましょう。
Windows 11でステレオミキサーを有効にする手順
ステレオミキサーが非表示になっている場合でも、設定を変更すれば利用可能です。
手順はシンプルですが、正しい操作順序を守ることが大切です。
【有効化のステップ】
- スピーカーアイコンを右クリック → サウンド設定へ
- 詳細設定 → 録音タブを開く
- 空白部分を右クリック →「無効なデバイスを表示」
- ステレオミキサーを有効化 → 既定のデバイスに設定
設定後、録音アプリで「ステレオミキサー」を選べば内部音声が録音できるようになります。
ステレオミキサーで録音できない時の対処法
ステレオミキサーを有効にしても録音できない場合は、いくつかの原因が考えられます。
設定ミスやドライバー不具合が主な原因です。
【よくある原因と対処法】
- 録音デバイスが正しく設定されていない → 入力デバイスを再確認
- プライバシー設定でマイクアクセスがオフ → マイクアクセスを有効化
- サウンドドライバーが古い → デバイスマネージャーで更新
これらのチェックポイントを順に確認すれば、多くのトラブルは解消できます。
Audacityを使った高音質録音【WASAPI対応】

フリーソフトのAudacityを使えば、誰でも簡単にプロ級の録音が実現できます。
特にWASAPI設定がポイントです。
Audacityの導入と初期設定(無料・日本語対応)
Audacityは無料で利用できるオープンソースの録音・編集ソフトです。
日本語にも対応しており、初心者にも使いやすいのが特徴です。
【導入手順】
- 公式サイト(audacityteam.org)から最新版をダウンロード
- インストール時は「次へ」で進むだけ
- 初回起動後に音声ホストを「WASAPI」に設定
- 録音デバイスを「スピーカー(Loopback)」に変更
これだけで内部音声の録音準備が整います。
WASAPIループバックで録音する方法
WASAPIループバックは、スピーカー出力前の音声を直接キャプチャできる設定です。
これによりノイズなし・高音質で録音可能になります。
【録音手順】
- 録音したい音源を再生しておく(YouTube、Zoomなど)
- Audacityで赤い録音ボタンをクリック
- 波形が動けば録音成功。
停止ボタンで終了
録音できない場合は、「再生前に録音開始」していることが原因のケースが多く、再生中に録音を開始するのがコツです。
ノイズ除去・音量調整など編集テクニック
Audacityの魅力は、録音後に細かな編集ができる点です。
特にノイズ除去や音量調整は、音声の品質を格段に向上させます。
【おすすめ編集テクニック】
- 無音部分のカット:範囲選択 → Deleteキー
- 音量均一化:エフェクト →「正規化」
- ノイズ除去:ノイズのサンプルを取得 →「ノイズの低減」適用
編集後は「MP3として書き出し」を選べば、再利用しやすい高音質ファイルとして保存できます。
画面録画と音声録音を両立するならOBS Studio
画面と音を一緒に記録したいなら、OBS Studioが最も多機能で高性能な選択肢です。
OBS Studioのインストールと設定方法
OBS Studioは、無料で使える高機能な配信・録画ツールです。
公式サイトからダウンロード可能で、日本語にも完全対応しています。
初回起動時に表示されるウィザードはキャンセルして手動で設定を進めましょう。
【導入のポイント】
- ダウンロードは公式のobsproject.comから
- インストール後は「ソース」に画面キャプチャを追加
- 音声デバイスの追加で録音が可能に
Windows 11でも安定動作し、ゲーム実況やウェビナーの記録にも対応できます。
音声キャプチャ設定とミキサーの使い方
OBSで音声を録音するには、「音声出力キャプチャ」を追加しておくことが重要です。
マイクとPC内部音声の両方を分離して記録できるのがOBSの強みです。
【設定手順】
- ソース一覧で「+」→「音声出力キャプチャ」を選択
- スピーカーまたはデバイス名を選ぶ
- 音声ミキサーで入力レベルを確認し、音割れを防止
音量バーが緑~黄色で安定していれば、適正な録音状態です。
ミキサー画面では個別の音量バランス調整も可能です。
マルチトラック録音で音を分けて保存する方法
マルチトラック録音とは、複数の音源(マイク・PC音・BGMなど)を別々の音声トラックに記録する方法です。
編集時に音量調整やカットがしやすくなります。
【設定ステップ】
- 「オーディオの詳細プロパティ」で各デバイスのトラックを指定
- 「設定」→「出力」→「録画タブ」でトラック1~6を有効化
- 出力形式はMP4またはMKV推奨
ゲーム実況、配信アーカイブ、講義録音など、編集前提の用途に最適です。
ショートカットで即録音!Xbox Game Barの活用法

追加ソフトを使わず手軽に録音したい人には、Xbox Game Barが最も簡単な方法です。
Xbox Game Barの録音手順(Windowsキー + G)
Xbox Game BarはWindows 11に標準搭載されており、ショートカットで即起動可能です。
インストール不要で、数秒で録音が始められます。
【録音のやり方】
- 「Windowsキー+G」でGame Barを起動
- 「キャプチャ」ウィジェットで録音開始
- 「Windows+Alt+R」で録音開始・停止も可能
録音は映像付きMP4で保存され、「ビデオ」→「キャプチャ」フォルダに格納されます。
録音ファイルから音声だけを取り出す方法
Xbox Game Barで録音したファイルは動画形式のため、音声だけを抜き出す処理が必要です。
無料ツールを使えばすぐに変換できます。
【音声抽出の方法】
- VLCメディアプレイヤーを使用してMP3へ変換
- オンライン変換サイトを活用(例:MP4 to MP3)
- Audacityでも読み込み後「書き出し」で音声保存可能
動画録音後にBGMや講義音声だけを使いたいときに便利な手法です。
VoiceMeeter Bananaで音声ルーティングを完全制御
音の流れを自由に制御したいなら、VoiceMeeter Bananaが最強クラスの録音環境を実現します。
VoiceMeeter Bananaの仕組みと導入手順
VoiceMeeter Bananaは、仮想ミキサーとして複数の音声ソースをミックス・分離できるツールです。
配信やオンライン会議の音声ルーティングに役立ちます。
【導入の流れ】
- vb-audio.comからソフトをダウンロード
- インストール後、PCを再起動
- 再生デバイスを「VoiceMeeter Input」に変更
- 録音ソフトで「VoiceMeeter Output」を指定
録音と再生、配信を完全に分離制御できるプロ向けツールです。
音声出力のカスタマイズ事例と注意点
VoiceMeeterでは、ZoomやDiscordへの出力と、自分の録音を完全に分けて制御できます。
ただし設定ミスで音が出ないこともあるため注意が必要です。
【カスタマイズ事例】
- 自分の声だけZoomに送信し、ゲーム音は除外
- 録音では全音声を含め、相手にはBGMを含めない
- OBSと連携して配信音声を分離収録
慣れないうちは構成をシンプルにし、A1・A2・B1の出力先を丁寧に確認しましょう。
録音ができないときのトラブルシューティング
録音できない時は慌てず、順に設定とハードの確認を行うことで多くの不具合は解決できます。
サウンドドライバーの更新手順と再設定
録音トラブルの大半はドライバのバージョン不一致や不具合が原因です。
最新ドライバへの更新が有効です。
【更新手順】
- デバイスマネージャーを開く
- 「サウンド、ビデオ、およびゲームコントローラー」を展開
- 使用中のオーディオデバイスを右クリック →「ドライバーの更新」
- 自動検索 or メーカーサイトから手動インストール
再起動後にデバイスが有効になっているかも確認しましょう。
プライバシー設定と録音アプリのアクセス許可
Windows 11ではマイクや録音機能がプライバシー設定で制限されていることがあります。
録音できないときはまずここを確認します。
【設定手順】
- 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「マイク」へ進む
- 「マイクへのアクセスを許可する」をオン
- アプリごとのマイク使用許可も確認
AudacityやOBSのようなデスクトップアプリに対しても個別許可が必要です。
ノイズ・音割れの原因と対処法まとめ
録音にノイズが入ったり音割れする場合、レベル設定や電源由来のノイズが原因のことが多いです。
適切な設定と機器チェックが必要です。
【原因と対処法一覧】
| 症状 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 音が割れる | 録音レベルが高すぎる | 音量を80~90%に調整 |
| ノイズが入る | AC電源ノイズ、USB干渉など | ノートPCはバッテリー駆動に切替 |
| 小さい音しか録れない | マイク入力が選択されている | ステレオミキサーまたはLoopbackに変更 |
1つずつ確認すれば、大抵の音質問題は解消できます。
目的別に選ぶ!おすすめ録音ツール比較

目的に合わせた録音ツールを選べば、音質と手軽さのバランスが取れた録音環境が手に入ります。
手軽さ・音質・用途別の比較表付き解説
録音ツールはそれぞれ特徴が異なり、どれを選ぶかで操作性や音質が大きく変わります。
以下の比較表を参考にしましょう。
【録音ツール比較表】
| ツール | 手軽さ | 音質 | 推奨用途 |
|---|---|---|---|
| ステレオミキサー | ◎ | ○ | 軽い録音、会議の記録など |
| Audacity(WASAPI) | △ | ◎ | 音質重視の録音 |
| OBS Studio | ○ | ◎ | 映像+音声の同時録画 |
| Xbox Game Bar | ◎ | ○~◎ | 短時間の録音、初心者向け |
| VoiceMeeter Banana | × | ◎ | 複雑なルーティング構成 |
初心者にはAudacityとGame Barの組み合わせが特におすすめです。
録音目的から選ぶ最適な方法【診断フロー】
録音ツールを選ぶときは、「目的」から考えるのが一番スムーズです。
以下の質問に答えると最適な方法が見つかります。
【診断フローチャート】
- 手軽に録音したい → Xbox Game Bar
- 音質にこだわりたい → Audacity(WASAPI)
- 映像も記録したい → OBS Studio
- 複数音声を分離したい → VoiceMeeter Banana
用途とスキルに合わせて、組み合わせて使うのも効果的です。
録音前に知っておきたい法律とマナー
録音は簡単にできても、守るべきルールやマナーが存在します。
知らずに録音するのはリスクがある行為です。
私的利用と著作権の正しい理解
日本の著作権法では、録音した音声を「私的利用の範囲」で使う限り合法とされています。
つまり、個人で楽しむ目的であれば問題ありません。
【注意点】
- 録音データの第三者への提供は禁止
- YouTube音声を保存してSNS投稿はNG
- 教材や講義録音も個人利用まで
使い方を間違えれば、著作権侵害のリスクがあります。
会議・講義の録音時に必要な同意とマナー
社内会議やオンライン授業などを録音する場合、参加者の同意を取ることが原則です。
無断録音は信頼を損ねるだけでなく、会社規定違反にもなります。
【録音前のマナー】
- 会議冒頭に「録音の旨」を伝える
- 教員・主催者から事前に許可を取る
- 録音後のデータ共有範囲も確認しておく
誤解を避けるためにも、一言添えることが大切です。
SNSや動画投稿での注意点
録音した音声をSNSや動画サイトに投稿する場合、著作権とプライバシーの両面に注意が必要です。
無断転載は削除や法的措置の対象となる場合もあります。
【投稿時の注意事項】
- 自分の声だけならOK
- 他人の声や音楽が含まれる場合は許可が必要
- 商用利用は使用ライセンスの確認が必要
不明点がある場合は、音源の制作者や配信元に確認を取りましょう。
【まとめ】Windows 11で理想の内部音声録音を実現しよう
最後にもう一度、録音成功のために必要なポイントを整理しておきましょう。
この記事で紹介した録音方法の総まとめ
本記事では、内部音声を録音する方法を5種類紹介しました。
それぞれのメリットと用途を再確認しておきましょう。
| 方法 | 特徴 |
|---|---|
| ステレオミキサー | 標準機能、手軽に使える |
| Audacity(WASAPI) | 無料・高音質・編集可能 |
| OBS Studio | 映像+音声、マルチ録音対応 |
| Xbox Game Bar | ショートカット録音が便利 |
| VoiceMeeter Banana | ルーティング完全制御 |
初心者はAudacityかGame Barから試すとスムーズです。
録音前チェックリストで失敗を防ごう
録音前のひと手間が、音質や失敗のリスクを大きく左右します。
以下のチェックリストを実行しましょう。
【録音前チェック項目】
- ステレオミキサーやLoopbackが選択されているか
- 音量メーターが緑~黄色で動いているか
- プライバシー設定が正しく有効になっているか
- 不要なアプリを終了してノイズを防止
- 録音後の音量調整・ノイズ除去も忘れずに
これらを確認すれば、理想的な録音が誰にでも可能になります。


